急性中耳炎

中耳炎と言えば、一般に、耳垂れ(耳漏)が出るとか、鼓膜に穴が開く病気といったイメージが強いかもしれません。しかし、そのような症状は、進行した慢性中耳炎の場合に見られる症状であり、ほとんどの中耳炎は、発症から数日で完治する一過性の急性中耳炎です。

中耳炎の病原体として最も代表的なものは、化膿菌(正しくは化膿レンサ球菌)、肺炎菌(同じく肺炎レンサ球菌)、インフルエンザウイルスの3種類です。大半の中耳炎は、このいずれかが中耳腔に侵入して感染することにより発症します。その侵入経路は、鼻腔(または咽頭)から耳管を伝って中耳に達するルートがほとんどですが、インフルエンザウイルスの場合は、まずインフルエンザを発症して血液中にウイルスが増殖し、それが血管を通って中耳の組織内に感染するというケースも見られます。そして、このような感染の仕方をした場合、中耳炎が重症になりやすいと言われています。インフルエンザにかかったとき、もし耳の痛みを感じたら、そのことも医師に告げて診察してもらいましょう。

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急性中耳炎の最多原因は、化膿菌・肺炎菌などの細菌感染です。これらの病原菌に対しては、通常、ペニシリン系の抗生物質が大変よく効きます。しかし、抗生物質を多用することは、それに対する耐性菌の発生を招きやすくするため、使用せずに治療できる病気に対しては安易な使用を避けるのが一般的となっています。したがって、急性中耳炎の治療でも、抗生物質を使用しないケースがむしろ普通です。激しい痛みをともなうことが多いので、患者としては強力な抗菌剤の使用を期待する人も多いと思いますが、普通は、体内の免疫機能によって完治する可能性の高い病気ですから、抗生物質を使用する必要はありません。激しい痛みに対しては、鎮痛効果のある薬が処方されます。

急性中耳炎で一番注意しなければならないことは、耳鼻咽喉科の治療を受けずに放置することです。通常、中耳炎の激しい痛みや発熱は2、3日のうちに治まりますが、痛みと熱がひいても耳に腫れているような違和感の残る場合や、音がこもって聞こえるような場合があります。そういうときは、中耳腔に分泌物が溜まる滲出性中耳炎に移行している可能性があります。これを放置することはできませんから、必ず耳鼻咽喉科の診察を受けてください。

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