感音性難聴

難聴の中でも、内耳や聴覚神経の障害が原因で起こるものを、感音性難聴と呼びます。その障害は、内耳で音の振動を脳への信号に変換する蝸牛(かぎゅう)という器官や、蝸牛から脳の前頭葉にまで音の信号を伝達する聴覚神経のいずれかに発生しており、先天性・後天性の両方があります。また、後天性の障害の場合、その原因は、病気、薬の副作用、頭部の傷害、過度の騒音、加齢、さらには精神的ストレスまで、実にさまざまなものが考えられます。そして、先天性・後天性を問わず、難聴の程度や表れ方も人によって多種多様です。

感音性難聴で軽度の場合、聞き取れる音量は健康な人と大差ないようですが、聴きたい音と雑音との区別ができないとか、人の言葉が聞き取れない、間違って聞こえる、複数の人と会話すると話が聞き取れない、といった特徴があるようです。また、人の声の質(高低)によって聞き取れなかったり、同じ人の声でも聞こえたり聞こえなかったりするなど、患者によって様々な症状を見せます。そのため、人から誤解を受けやすく、対人関係で傷つき悩みを抱えることが少なくないようです。

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身体障害者福祉法では、ほとんど音を聞き分けることのできない最重篤の聴覚障害者をろう者(聾者)と称し、それよりも軽度の感音性難聴による聴覚障害者は難聴者として明確に区別されています。また、難聴の程度が高度・中度・軽度の3段階に分類されており、大声(70デシベル以上)で話さなければ聞こえない高度難聴者に対しては、ろう者と同様に身体障害者手帳が交付され、さまざまな障害者福祉を受けることができます。

高度の難聴者の場合、従来より補聴器を使用することが一般的ですが、現在では、内耳に電極を挿入し、補聴システムで音声を電気信号に変換して聴覚神経に直接伝える人工内耳が普及してきました。ただし、このシステムは、聴覚神経が機能している患者でなければ使えません。

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