難聴の治療
難聴の中でも、大音響の音楽を聴くことで起きる音響難聴は、一過性の場合、耳を休めるだけで回復しますが、慢性化した場合は回復が困難です。また、内耳とそれに連接する神経系の異状によって発生する感音性難聴も、基本的に回復不可能な障害です。しかし、中耳炎などの疾病によって発症する難聴の多くは、耳鼻咽喉科の治療によって正常な聴力を取り戻すことができます。
中耳炎で難聴になった場合、急性中耳炎であれば、痛みや発熱が治まるとともに難聴も解消されます。中耳腔内に分泌物が溜まる滲出性中耳炎の場合も、初期の段階であれば、抗生物質の投与で完治させることができ、病気の回復とともに難聴は解消します。また、滲出性中耳炎が重くなった場合であっても、鼓膜を切開して膿を吸引し、抗生物質を引き続き使用することで完治させることができます。この場合も、切開した鼓膜は自然に治癒しますから、それとともに正常な聴力を取り戻すことができます。ただし、鼓膜に穴が開いて膿が流れ出す慢性中耳炎にまで進行した場合は、合併症として内耳炎を引き起こすケースが多く、手術によって中耳炎を治すことができても、聴力を十分に回復できない場合があります。
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難聴を引き起こす疾病として比較的によく見られるものに、アデノイド肥大症があります。これは、中耳炎と同様、子供によく発症する病気であり、鼻腔の奥にあるアデノイド(咽頭扁桃)が慢性的に肥大化します。それによって、肥大化したアデノイドが耳管の出口をふさいでしま中耳腔内の気圧の調節ができなくなるために難聴が起こります。また、アデノイド肥大症は、耳管に炎症が起こる耳管狭窄症の原因ともなり、同様に難聴が起こります。しかし、アデノイドの慢性的な肥大は、幼児のころをピークとして10歳くらいまでには縮小するケースが一般的です。何らかの重大な悪影響がある場合には、手術で切除することもありますが、アデノイドは扁桃腺と同様に大切な免疫機能を担っていますから、通常は切除することはありません。幸い、アデノイドによる難聴は軽度のものが多く、本人も難聴に気付かない場合がほとんどです。したがって、治療せずに放置しておく場合が多いようです。
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