バードウォッチングを始めよう〜野鳥の天敵カラス〜




野鳥にとって最大の敵は、カラスです。特に都市においては、トビのような猛禽類がほとんどいなくなり、野良猫も野良犬も減ってしまった現在では、カラスが生態系の頂点に立っています。

わたしたちが普通にカラスと呼んでいるのは、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類です。ハシブトガラスは名前の通りくちばしが太く、主に都市を縄張りとしています。ハシボソガラスはくちばしが細くてとがっており、田園地帯など田舎の方を棲みかとしています。きれいに生活圏を分け合ってはいますが、ともに好奇心が旺盛で頭が良く、なかなかのくせ者です。ハシブトガラスは、わがもの顔でゴミ捨て場を荒らしまくっています。また、カラスは普通、群れで行動しますから、単独で行動する猛禽類の王者イヌワシよりも優位に立つことができ、ハシボソガラスがイヌワシの獲物を横取りすることも珍しくありません。

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都市の生態系の頂点に立つハシブトガラスは、他の野鳥をハンティングすることもあります。ただし、小型の野鳥たちは小回りが利いて敏捷に飛び回るため、カラスに狙われることはありません。ハトはフルスピードで飛ぶと、さすがにカラスも追いつけませんが、体が弱っていたり油断したりすると、カラスの餌食になってしまいます。しかし、カラスが好んで狙うのは、巣の中にいる野鳥のヒナや巣立ったばかりの幼鳥です。


カラスは他の野鳥の巣のそばでホバーリングしたり、巣立ったばかりのツバメの子を空中でキャッチするほどの飛翔力を持っています。ヒナ鳥や幼鳥を捕らえると、まるでもてあそぶように、いったん口の中にしまっておきます。そのため、くわえこんでもしばらくの間は、親鳥に救いを求めるような犠牲者の鳴き声が響いています。そんなとき、ヒヨドリの場合は、両親は近くに止まり、なすすべもなくじっと見守ります。ツバメの場合は、両親がずっとカラスの上で旋回しています。ただ、気の強いシジュウカラの親は、果敢にカラスにアタックを試みますが、カラスは平気な顔です。可哀そうですが、これが自然の摂理なのでしょう。

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