子供のしつけで叩いてしまうのは良いこと?

子供のしつけで叩いてしまうのは良いこと?

子供を平気で叩ける親は、ほとんどいないでしょう。攻撃性の強い異常性格や精神疾患の人などは例外として、普通の親は、大の大人が小さな子供に手を上げることの罪悪感から、また、可愛いわが子がかわいそうという思いから、叩くことをためらうはずです。それでも叩いてしまうのは、それが単なる感情的な行動ではなく、しつけのためには叩くことも必要という精神文化が社会の中に厳然として存在するからだと思われます。

調理器具メーカーの象印マホービンが、社会貢献事業の一環として2013年4月に「新米パパ・ママの幼児のしつけに関する実態調査」を実施しました。首都圏・関西圏の1都2府4県で第1子が3歳以上6歳未満の子供を持つ既婚男女400名を対象としたアンケート調査です。その結果、しつけの一環として幼児を叩くことは「必ず必要である」・「必要な場合もある」と答えた親が合計61.5%に上りました。現代の子供を持つ若い世代でも、大半の親がしつけのためには子供を叩くことも必要と考えていることが分かります。

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しつけのためには子供を叩くことも必要とする考え方は、決して日本独特のものではありません。意外に思えるかもしれませんが、人権意識がとても高い国と見られているアメリカにおいても、育児情報サイトを利用している母親の約49%がしつけのために子供を叩くと回答しているアンケート結果があります。

しかしながら、小児科医療や精神医学の先進国であるアメリカでは、米国小児科学会が、いついかなる場合にも子供を叩くべきではないと、叩くことを全面否定しています。その理由の中で注目すべき点は、子供を叩くことで子供の攻撃性や怒りを助長するという点です。ハーバード大・デューク大の合同研究によっても、1歳児のときにしつけで叩かれることが多かった子供は、2歳児になると攻撃的な態度を見せることが多くなり、3歳児になると認知力のテスト結果が低くなると報告されています。また、叩かれることで、他人を叩くことによって怒りや欲求不満を発散することや、弱者に対しては暴力をふるっても構わないこと、叩かれないように嘘をつくことなど、間違った学習をしてしまうことも指摘されています。

子供を叩いて叱るのも親の愛情の証しという考え方もあるでしょうが、しつけのために叩くことには以上のような無視できない弊害があることを理解すべきです。

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